大根を切る朝、汁物のある一食
朝の体重は57.2kg。起きたときに台所の床が冷たく感じられ、部屋用の靴下を出した。十一月に入ってから、食事の中でも汁物を楽しみにする日が増えた。今日は大根の切り口を見て、先に使っておくことにした。冷蔵庫には豆腐も残っている。特別な献立を考える朝ではなく、目の前の食材から一食を作り始めた。体重の数字はノートに置き、包丁を出した。
大根は薄くいちょう切りにした。厚く切ってゆっくり煮るのも好きだが、今日は早く食べたかった。鍋が温まる間にごはんを用意し、納豆を冷蔵庫から出した。みそ汁に豆腐を加えると、いつもの一食に近い形になる。毎日似た材料を使っていても、切り方や火の通り方が違うので、同じ料理を繰り返している感じばかりではない。今日の大根は少し歯触りが残るぐらいだった。
一日二食を基本にするようになってから、食事の回数を他の人に説明する機会はほとんどない。自分の生活の中で準備しやすいというだけで、毎日何時と何時に食べるかまで決めてはいない。朝の用事が早ければ一食目を早めるし、間に空腹を感じれば何かを食べる。最初に作った決まりに合わせ続けるより、その日の予定に無理なく置けるほうが助かる。今日は温かい汁を落ち着いて飲めた。
午前中に買い物のメモを作った。以前は体重が減りそうに思える食材を探していたが、今は家に何が残っているかを先に確かめる。キャベツはまだあり、ツナ缶も一つある。追加するのは卵ときのこ、それから果物にした。いつもの食材をそろえるだけなら簡単だが、同じものばかりになりすぎていないかは時々見直す。買う物を決めておくと、店内で長く迷わずに済むのもよかった。
店では温かい飲み物や鍋の材料が目についた。季節が変わると、同じ通路を歩いていても印象が違う。以前なら新しい健康法の宣伝文句もよく見ていた。何かを始めれば停滞が変わるのではと思っていたのだろう。今も気になる商品はあるが、今日食べるものより優先することは少ない。買い物かごには予定していたものを入れ、帰りにパン屋の前で少し足を止めた。それも含めて普通の買い物だった。
昼過ぎには買ってきた果物を食べた。皮をむいて皿にのせ、温かいお茶と一緒に座る。空腹の程度を毎回詳しく分析しているわけではない。夕食まで落ち着いて過ごせそうか、食べ終わって足りない感じがないか、そのぐらいを確かめる。記録する項目を増やしすぎたころは、何かを口にするたびにメモが必要で疲れた。今は食事の時間を記録作業でいっぱいにしないようにしている。
不足が気になるところをサプリメントで補うのは、自分の生活に残った方法の一つだ。ただ、今日の大根や果物の代わりになるとは考えていない。食事を用意したあとに、補助として扱えることが続けやすさにつながっている。食べ物を選ぶことと飲むものを増やすことを一緒にすると、何を整えたいのか分からなくなる。いまは手元のものを確かめ、必要以上に種類を集めない。棚も以前よりすっきりした。
夕食ではキャベツときのこを蒸し、ツナを加えた。大きめの皿に広げて、ごはんと並べる。料理の写真を撮るほど整った見た目ではないが、食べたいものが一通りある。冷たい野菜をたくさん用意するより、今の季節は温かい料理のほうへ手が伸びる。同じ基本の材料を使っても、冬に向かって自然に調理法が変わっていく。献立を厳しく固定していない利点は、こういうところにもある。
食後は鍋を洗い、明日の分の大根を包み直した。煮物にするか、またみそ汁にするかは決めていない。数日分を完璧に準備するより、使える状態で残しておけば十分だ。体重の変化も準備の効率も、毎回よくなることを期待しない。暮らしていれば忙しい日も、台所に立ちたくない日もある。そのとき戻れる食事が一つあるだけで、以前のように全体をやり直す気分にはならずに済む。
夜のノートには、大根を薄く切ったことと、夕食の蒸し野菜を書いた。何を減らしたかより、何を食べたかが分かる記録になっている。体重は前回から少し動いているが、それを今日の料理の手柄にはしない。台所の床は相変わらず冷たく、洗い物のあとに靴下を履き直した。今夜は湯を沸かしてお茶を飲み、冷える前に布団へ入るつもりだ。冬支度も少しずつ始まっている。
