体重計の場所を決めてから
今日の記録は60.2kg。朝に体重計を出したとき、置き場所がいつもより少し壁に近かった。床を掃除するたびに動かして、そのまま戻していたらしい。足を乗せにくかったので、いったん持ち上げて置き直した。細かい数字を眺める前に、測る場所や朝の動きをそろえるほうが、自分には落ち着いて記録できる。
体重計は、使わないときも見える位置に置くことにした。以前は隙間にしまい、出すのが面倒で測らない日があった。毎日必ず測ると決め込むつもりはないが、測りたいときにすぐ使えるほうがよい。道具を取り出すところで気持ちが止まるなら、しまい方を変えればよいだけだと最近は思っている。
冬の朝は、温かいものが欲しくなる。今日は食事までの間にお湯を飲み、明るくなった窓のそばで少し座った。飲み物を何にすれば体重が変わるか考えていた頃もあるが、今は寒い日に温かいものを選ぶという程度だ。特別な意味を持たせず、そのとき飲みたいものを用意するほうが、朝の時間を静かに過ごせる。
最初の食事には、冷凍していたごはんと納豆を出した。みそ汁は豆腐ときのこ。きのこは前日に使った残りだったので、袋を開けたまま忘れずに済んだ。いつもの食事に一つ材料が加わるくらいで、十分変化になる。献立を全部変えなくてもよいと思うと、食材を買うときの迷いも以前より少なくなった。
二月の記録を見返すと、同じ数字が並ぶ日もあった。少し下がった翌日に戻ることもある。そこで毎回食事を変えてしまうと、何をしていた月なのかわからなくなる。今月はごはんを抜かず、一日二食を土台にして過ごしている。食事の間におなかが空く日は、そのことも書く。数字だけ見て空腹をなかったことにはしない。
記録帳の横には、すぐ書けるペンを一本だけ置いた。何本もまとめてあると、書けないものを先に手に取ることがある。今朝は数字を書いたら、そのまま前回の食事の欄も読んだ。どんな日だったか、短い文章でも案外思い出せる。測ることだけで作業を終わらせず、前の自分のメモを一度見る。この時間は、朝の小さな区切りになっている。
昼過ぎ、近所を歩くと、風がない場所は少し暖かかった。冬用の上着を着たまま早く歩くと途中で暑くなったので、ゆっくり歩いた。毎回同じ距離を同じ速さで回る形は、天気によって負担が変わる。今日は途中の角を曲がって短めに帰った。歩くことまで体重の数字に結びつけず、外の空気を吸う時間として残したい。
夕食はキャベツとツナを軽く炒め、ごはんとみそ汁を添えた。キャベツを細くしすぎないほうが、今日は食べやすかった。食後に流しを拭き、明日使う豆腐を冷蔵庫の手前に移した。二食で暮らしていると一回の準備が目立つが、使う食材が決まっているぶん、何も思いつかないまま台所に立つ日は減っている。
測ったあとに何度も乗り直すことは、最近しなくなった。小さな変化が気になると、違う数字が出るまで確かめたくなる日もあった。今は最初に測ったものをそのまま残し、あとで並べて読む。今日の数字が気に入るかどうかより、同じやり方で残せたかを見たほうが、記録を開く時間も短くて済むようになった。
夜に翌朝の準備をするといっても、特別なものはない。記録帳のペンが見つかるか、体重計の周りに物がないか、その程度だ。生活を細かく管理しすぎると、一つ崩れたときに全部が面倒になる。簡単に戻せる形をいくつか持っておくほうが、自分には合っている。今月のメモにも、できなかった日を空欄のまま残してある。
記録帳の二月の欄は、もうすぐ終わる。今月いちばん長く書いたのは、食事の内容ではなく、買い物の段取りについてだった。体重だけで見れば静かな月でも、生活の中には変わったところがある。今夜は体重計の前をふさがないよう、床に置いた袋を片づけた。明日の朝も、測って書くまでを余計な作業なしに済ませられそうだ。
